コラム

海外拠点管理のあるべき姿とは

連載第5回RFP(提案依頼書)を見て1次評価する

公開日:2016年6月15日

太陽グラントソントン・アドバイザーズ株式会社
マネジャー 今井武氏

前回のコラムでは「海外拠点情報システム導入RFP(提案依頼書)」と題して、RFPサンプルを交えながら、日本本社の要件と海外拠点の要件の両方を上手に盛り込む必要性があることを説明しました。
海外拠点へのシステム導入の場合、どうしても日本本社と海外拠点の要件にギャップが出てしまいます。ギャップを解決するにあたり、その要件が本社の必須要件として「やるべきこと」なのか、現場の希望要件として「やりたいこと」なのか、オープンな議論を行い、お互いのことをきちんと理解し、重要性の判断をすることが必要だと理解していただけたかと思います。

今回のコラムでは、紆余曲折を経て作成したRFPに対し、システムベンダーから提出されてきた提案書を評価するポイントを説明します。

1次評価(書類審査)ステップ

システムベンダーにRFPを提出後、一般的な1次評価ステップとして、以下の手順で進めます。

(1)評価シートの作成
提案の評価では、各システムベンダーの提案書を横並びにして、比較をします。そのため同じ指標で見るために評価シートが必要になりますが、どの項目が重要で、どの項目が重要で無いのか、といった項目に対して重み付けをすることで、システムベンダー比較をした際に定量的に優劣を把握することができます。
この重み付けは必ずシステムベンダーからの提案書を受領する前に作成する必要があります。仮に提案書受領後に比較表を作成すると、各ベンダーからの提案内容を基に評価基準を作ってしまい、自分たちが本当に求めている重要な要件を正しく評価できず、最良のシステムベンダーの選択ができなくなる恐れがあります。
また、評価項目はRFPに基づいて作成することが重要です。
RFPに書かれていることが今回システムを導入する上で必要な要件となるので、その要件に合わせた提案を正しく評価する必要性があります。時々、営業活動を通じて自社の状況を良く知っているシステムベンダーがRFPに書かれていないことに対し、得意気に提案するケースがありますが、提案書を評価する上では余り意味がないことを評価する側も意識しておかなければなりません。
(2)システムベンダーとのRFP質疑応答
RFPは、提案を依頼する側が作成したものなので、システムベンダーから必ず色々な質問が来ます。RFP内に対応窓口と対応方法、質問のルールなどを記載(第四回の海外拠点情報システム導入RFP(提案依頼書)サンプル参照のこと)しますが、システムベンダーの中には、受注したいという気持ちが強すぎてルールを逸脱するシステムベンダーもいます。これは、導入プロジェクトが始まってからもルールを厳守しない可能性があるということを示唆させてしまい、マイナス評価に繋がります。
また、RFPに対するQ&Aは窓口を1つにし、そのやりとりがドキュメントとして残るようにします。窓口を1つにすることで、情報の拡散を防ぎ、他のシステムベンダーに対しても有益と考えた質問に関しては、公開することで重複質問を避け、RFPの内容をより理解してもらい、より良い提案をしてもらうための情報とすることができます。また、システムベンダーの中には、質問の内容が全く的外れであったり、全く質問してこないシステムベンダーもいます。そのようなベンダーの多くはRFPの読み込みが甘く、その後提出される提案書の内容は薄い場合が多くなります。このように、質問内容からもシステムベンダーの力量を評価することもできます。
(3)システムベンダーから提案書を受領する
RFPに記載した提案手続き・スケジュール(第四回の海外拠点情報システム導入RFP(提案依頼書)サンプル参照のこと)に合わせて、システムベンダーから提案書を受領します。
多くのシステムベンダーは最後まで提案内容を練り上げているので、期限間近に提出してきます。稀にスケジュールをオーバーして提出されるケースもありますが、ルール厳守という点においては、これもマイナス評価に繋がります。 提案書は社内で簡単に共有できるよう電子データで入手することをお勧めします。
(4)システムベンダーからの提案書をもとに1次評価(書類審査)、合否連絡
各システムベンダーから提案書が出そろった時点で評価をしていきます。
審査し、合否連絡というと、どうしても複数の中からいくつか落とさないといけないイメージがありますがそうではなく、1次評価(書類審査)では、RFPの読み込みを充分しているか、そのシステムベンダーの強みはどこなのかなどをピックアップして、なるべく次のステップ(デモンストレーション)で詳しく聞いてみたいポイントを探すことを意識し評価します。
この時点で、一番良いものを選定するということはしませんが、逆にRFPと提案内容にあまりにも乖離が大きい場合は1次評価で落とすケースもあります。
提案書は100ページを超えるものもあり、RFPを10社送り、10社から提案書が来た場合は、全体で1000ページを超えるケースも出てきます。
全てを読むことは非常に時間がかかりますが、概要図がイメージしているものに近い、なんとなくこの案でできそうといった曖昧な答えを出してしまうと、今までの苦労が水の泡となります。コストやスケジュールの確認はもちろんですが、最終的に必要な「要件機能一覧」(第四回の海外拠点情報システム導入RFP(提案依頼書)サンプル参照のこと)を満たしているかが非常に重要になってくるので、細部に渡るまで提出された提案書は全て読み込む必要があります。

このコラムの著者

今井武氏

太陽グラントソントン・アドバイザーズ株式会社
マネジャー

上場一部SIベンダーを経て、現在に至る。
海外進出企業、外資系企業を中心に業務システム導入の企画・立案・実行支援を行う。

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