コラム

海外拠点管理のあるべき姿とは

連載第2回RFP(提案依頼書)作成の勘所

公開日:2013年1月16日

太陽グラントソントン・アドバイザーズ株式会社
マネジャー 今井武氏

前回のコラムでは「日本本社と海外拠点の想い」と題して、経営計画の重要性、それを実現するための情報システム化に向けたアプローチについて説明し、更に情報システムの実現性を担保する設計書としてRFP(提案依頼書)を作成するということをご紹介しました。このRFPは、企業の要望を事業要件、業務要件、システム要件、非機能要件として定義し、システムベンダーに提出してシステム提案を依頼する文書になります。

では、実際に作成するには何をすれば良いでしょうか。
多くの企業はRFPを初めて作る、もしくは過去に1、2回作成したことがあるという状況で、「どのように作ったらよいか?」という疑問形から始まるケースがほとんどだと思います。
書店には「RFPの作り方」と題した書籍がたくさんあります。サンプルフォーマットを用意し、その形に合わせて作成すれば、簡単にRFPが出来上がるというものです。それで果たしてうまく行くでしょうか。
それ以前に出来ることならRFPを作らずに済ませたいという企業もあるのではないでしょうか。いつも付き合いのあるシステムベンダーに依頼すれば、細かい要件をひとつひとつ文書に落とさなくても、少し説明すればこちらの要望を理解して、更にRFPのような文書を作成してくれるため、作業を省略してしまうケースも見られます。

今回のコラムでは、これらのRFPの疑問に対して、「なぜ」「だれが」「どのように」の3つの視点から説明していきます。

なぜRFPを作成するべきなのか?

情報システムを構築するにあたり、必ず要件というものを洗い出します。
例えば、海外拠点であれば、輸出、輸入をしているので通貨を複数管理したい、通関書類は英文なので言語は英語を使いたい等のリクエストが出てきます。
要件が少なく、口頭で話が伝えられるぐらいの情報システム化であれば、わざわざ文書として作成するまでもありませんが、今回のように経営計画を実現するための情報システム化は、当然要件も多くなり、関係する人たちが多くなるため、認識違いを避ける意味でも情報システム化の設計書となるRFPが必要となるわけです。

前回のコラムでもご説明しましたが、この設計書は自社の経営計画を実現するために情報システムという共通言語(仕組み)に落とし込むためのバイブルになります。
情報システム化のプロジェクトが始まり、仮に途中で立ち止まることがあっても「計画」や「RFP」に立ち返ることにより、自分たちが進む「方向性」を再確認することが可能となります。

では、RFPを作らなかった場合、費用面からはどのようなことがいえるでしょうか。

要求仕様書の充実度と製作費用

(企業IT動向調査2006)

上記の表は①要求仕様は網羅されているRFPと④網羅されていないRFPで設計・製作・テストにおいて費用が当初よりどのくらい変化したかの調査結果です。
この2つを見比べると、設計において30%、テストにおいて10%の費用が増加したということが見て取れます。費用が増加するということは、工数やかかる時間の増加はもちろんですが、それに掛かる自社人員関与時間等にも影響するということになります。

ちなみに②③はRFPが存在するものの何らかの不備があるもので、こちらに関しても、設計、テストにおいて費用の増加が見受けられます。

例えば、部門別や商品別等のセグメント別に数字を分析したいというリクエストがあった場合、RFPを作成する際に、セグメント別に実績の把握がしたいという現場からの要件のみをRFP に記載し、本来経営者からリクエストがあるはずのセグメント別の実績、セグメント別予算比較、将来予測といった要件が漏れてしまうケースがあります。そのため、企業全体の要件が網羅されず、手戻りが発生しまい、上記のような費用増加を招くことになります。

このように手戻りの発生や後だしジャンケン的な追加リクエストが発生しないようにRFPは「作った方が良い」のではなく「作らなくてはならない」重要な文書といえます。

このコラムの著者

今井武氏

太陽グラントソントン・アドバイザーズ株式会社
マネジャー

上場一部SIベンダーを経て、現在に至る。
海外進出企業、外資系企業を中心に業務システム導入の企画・立案・実行支援を行う。

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